【環境×福祉×事業】「三方よし」の共創が生む新たな価値

※掲載内容は取材当時のものです。

サンアンドホープとエスコアハーツが取り組む、廃棄物「寒水石」のアップサイクルへの挑戦

湯まわり設備メーカーの株式会社ノーリツの特例子会社である株式会社エスコアハーツとwelzoグループの株式会社サンアンドホープは、資源循環に向け協業し、給湯器の製造過程で廃棄されていた「寒水石」を再資源化し、ミネラル土壌改良剤「ゼオカル」として発売しました。資源循環型社会の実現と「障がい者の雇用を守る」想いが結びついた、異業種による持続可能な未来への挑戦。その道のりについて、株式会社エスコアハーツ 代表取締役社長 新田博哉さんと、株式会社サンアンドホープ 代表取締役社長 中武英一さんにお話を伺いました。

Q1 それぞれの事業について教えてください。

新田博哉【株式会社エスコアハーツ 代表取締役社長】さん(以下、新田さん)エスコアハーツはノーリツグループの特例子会社として、給湯器部品の製造をはじめ、事務代行、保険代理店業務、企業内保育園運営など、多岐にわたる業務を通じて障がい者雇用を推進しています。障がいのある方々が個性を活かし、やりがいを持って活躍できる場を作ることを大切にしています。

中武英一【株式会社サンアンドホープ 代表取締役社長】さん(以下、中武さん)サンアンドホープの事業は、肥料の製造と卸が中心です。最大の特徴であり、経営のベースとなっているのが「障がい者雇用」です。実雇用率は約70%に達しており、本社や関西工場 で、主に障がいを持つ方々が製造作業を担っています。「働く場所を守る」という理念を貫くためには、利益を出すことが不可欠です。そのため弊社は、機械による大量生産には不向きな「多品種・小ロット」の製造を強みに、ニッチなニーズに応える経営を続けています。

Q2 今回の「ゼオカル」での提携は、どのようなきっかけで実現したのでしょうか?

中武さんきっかけは2023年、弊社が障がい者雇用の優良中小企業認定である「もにす認定」を受けたことです。同じ認定を受けているエスコアハーツさんから「何か一緒にできませんか」とお声がけをいただいたのが始まりでした。

新田さんそうですね。弊社は、ノーリツグループの高効率給湯器(エコジョーズ・エコフィール・ハイブリッド給湯機など)に使用される中和器の製造を担っています。しかし、その製造過程で規格外となった寒水石を産業廃棄物として廃棄せざるを得ない状況が続いていました。資源循環型社会の構築を目指し、これまでもグループの総力をあげてさまざまな取り組みを行ってきましたが、リデュース(削減)の観点だけでは限界を感じていました。そこで発想を変えて、寒水石のリユース・リサイクルの可能性を模索していた中で、障がい者雇用への想いが一致するサンアンドホープさんと出会い、協業を提案させていただきました。

中武さん最初は正直「簡単ではない」と思いました。もともと寒水石は肥料原料としては単価が安く、そのまま商品化しても利益を出すのが難しい原料です。しかし、安価な資材をライバルにするのではなく、土壌改良効果のある「ゼオライト」をブレンドして付加価値を持たせれば勝負できるのではないか、という発想に至り、このプロジェクトが実現しました。

Q3 エスコアハーツ様は長年にわたりノーリツの特例子会社として障がい者雇用に積極的に取り組まれています。この活動は、貴社にとってどのような意義を持ちますか?また、ゼオカル以外での障がい者自立支援に向けた具体的な取り組みがあれば教えてください。

新田さん再資源化の実現によって、資源循環型社会の構築に貢献できる点が大きな意義です。ゼオカルに関わる両社の社員が社会貢献を実感し、仕事へのやりがいにもつながってくれると、よりうれしく思います。また、寒水石の再利用による新たな商品を通じて、障がい者が活躍できる機会の拡大に期待しています。 具体的な取り組みとしては、2011年よりノーリツグループ全体で「人に笑顔プロジェクト」を推進しています。このプロジェクトでは、回収した使用済み給湯器の分解作業を全国約40か所の福祉施設に委託し、延べ約3,000人の障がいのある方々に就労機会を提供しています。これらの活動を通じて、障がい者の自立支援と社会参加の促進に寄与しています。

Q4 寒水石が肥料「ゼオカル」へと生まれ変わる流れについて教えてください。

新田さんまず、ノーリツが販売しているエコジョーズなどの高効率給湯器は、従来捨てられていた約200℃の排気ガスの熱を再利用することで、少ないガス消費で効率的にお湯をつくる「潜熱回収」の技術を採用しています。しかし、この過程で弱酸性のドレン水が発生し、そのまま排水すると環境への影響が懸念されます。 このドレン水を中和する役割を持つのが、エスコアハーツで製造する中和器です。寒水石はその中和剤として使用しますが、仕入れ後のふるい分けで、品質確保のために年間仕入量の約11%におよぶ「規格外品」を廃棄していました。これが現在は「ゼオカル」の原料になります。

中武さん供給いただいた寒水石はすでにサイズ分けされていますが、肥料として最適なサイズや配合率にするため、弊社でさらに粉砕などの調整を行います。そこにゼオライトを混ぜ合わせ、袋詰めしていく工程が、弊社で働く障がいのある方々の仕事になります。

Q5 新しい取り組みを始めるにあたって、最も大変だったことや、印象的な出来事はありますか。

新田さんエスコアハーツ側では、廃棄寒水石の粒度選別工程や品質管理の見直しを行いました。具体的には、ふるい機の目開きや線径を選定し、最適な粒度(大・中・小)になるよう調整しました。また、採掘時の不要物が混入しないよう、排気ダクトの吸引力を高めて異物を効率よく除去する対策も行っています。これにより品質管理の精度が向上し、製品の安定化にもつながりました。

中武さんサンアンドホープ側で正直なところを言えば、一番大変なのは「これから」です。販売が始まったばかりなので、市場にどれだけ受け入れられるかは来春にならないと分からない、という不安は常にあります。 ただ、この連携は全くの異業種同士なので、同業他社との取引で生じがちな「利害の衝突」が全くありません。お互いにプラスしかない関係で、新しい可能性を追求できることは非常に大きいですね。

Q6 このプロジェクトを通じて、どのような手応えを感じていますか?

新田さんノーリツグループの従業員に、中和器製造の過程で寒水石が廃棄されていること、またその寒水石を活用して新たな商品が生まれたことを知ってもらえたことは大きな成果です。 「無から有を生む」新たなチャレンジがノーリツから賞賛されたこと、またプレスリリースを通じて、エスコアハーツという会社をより多くの方に知っていただけたことも喜ばしく思います。これらにより、ノーリツグループおよびエスコアハーツ従業員の会社に対するエンゲージメントが高まること、そして次の社会貢献の取り組みにつながることを期待しています。

中武さん再資源化の実現により、資源循環型社会の構築に貢献できる点は非常に意義深いですよね 。関わる両社の社員が社会貢献を実感し、仕事へのやりがいにもつながってくれると嬉しいです。

Q7 最後に、今後の展望とメッセージをお願いします。

中武さん(写真、右)まずは商品を全国規模で認知いただき、広げていきたいです。ゼオカルは緩やかに効く土壌改良剤なので、果樹やバラなど、一年で枯れない植物に特に向いています。一般の方々には、花一輪、野菜一個でもいいので、育てる喜びや癒やしをもう一度体験していただきたいですね。

新田さん(写真、左)全国各地の園芸・農業に関わる多くの方に、商品の良さはもちろん、プラスαの社会価値をご理解いただき、継続してご購入いただきたいと考えています。今回のような障害福祉に関わる仲間同士のコラボレーションが多方面で広がり、社会課題解決の一助になることを期待しています。

中武さんまた、社会課題に取り組む企業の方々へ伝えたいのは、弊社の理念である「障がい者の働き場を守る」とは、結局のところ「経営」そのものだということです。利益を出し、強い経営基盤がなければ、障がい者の皆さんが安心して働ける環境は作れません。だからこそ「商品力」にこだわり、しっかりと売れるものを作る。それが結果的に理念を守ることにつながると信じています。

新田さん弊社は2026年で設立20周年を迎えますが、日々試行錯誤しながら障がい者の自立支援に取り組んでいます。一人ひとりの個性や能力を活かし、やりがいをもって活躍してもらうための取り組みを、今後も引き続き行っていきます。また、製造メーカーのグループ会社として、資源循環型社会の実現は社会的責任だと考えています。寒水石や給湯器のリサイクル以外にも、独自のサーキュラーエコノミーを目指していきます。 未来のために、持続可能な社会の実現に取り組んでいきましょう。

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