
農家さんが儲かる仕組みを作りたい
※掲載内容は取材当時のものです。
プロジェクト概要
welzoは、持続可能な農業の実現に向けて、九州大学・高知大学などの多様なパートナーと連携し、福岡市今津にある研究農場を舞台に革新的な農業技術の開発と社会実装についての産学連携で研究を進めています。 福岡市西区今津にあるwelzo研究農場は2022年11月に設立されました。敷地面積約1,200坪、ビニールハウス7棟を構える、農業の先進技術研究に特化した施設です。ここでは、農業の生産性向上だけでなく、環境負荷の低減や人材不足の解消にもつながるための研究として、スマート農業やプラズマグリーン農業など、先端技術を駆使した取り組みを実施しています。また、技術開発だけでなく、次世代の農業人材育成の場としても活用されており、大学・企業・地域が一体となった未来共創の拠点です。
Q1 九州大学との連携①:スマート農業~AIが導く自動栽培システム
九州大学と共同で開発中の「自動栽培システム」は、AIとIoTを活用し、植物の生育状況をリアルタイムで観察・制御する次世代型のスマート農業栽培技術です。環境センサーやAIカメラから得られるデータをもとに、温度・湿度・水・肥料などを最適化。農業の「再現性」と「標準化」を実現し、誰でも高品質な作物を安定的に生産できる未来を目指しています。
Q2 九州大学との連携②:プラズマグリーン農業で目指す肥料革命
九州大学プラズマナノ界面工学センターとの共同研究では、空気中の窒素をプラズマ状態にして腐葉土や堆肥などに固定化した「プラズマ肥料」の開発が進行中です。 具体的効果としては、「プラズマ肥料」を使用して育てた小松菜が、プラズマを照射させる媒体と量の組み合わせを複数試してみた結果、化学肥料を与えた場合と同等の大きさに成長することを確認しています。 現在利用されている窒素肥料(尿素)の生成方法であるハーバー・ボッシュ法は、高温高圧の環境下で大量のエネルギーとCO₂を消費するため、環境負荷が大きいという課題があります。また窒素肥料向けの原料は、ほとんどがマレーシアや中国など海外で生産されており、原料を輸入に依存していることから、国際情勢の変化で肥料の供給量や価格に影響を及ぼすリスクも高いと言えます。 プラズマ肥料の場合、活性化した窒素の化学反応でアンモニアなどを生成することから、CO2を排出する工程はなく、消費電力が抑えられ農業の脱炭素化を後押しできます。そして、原料確保に関するリスクもなく安定して供給できる国内生産が可能となります。 従来の窒素肥料が抱えるCO₂排出の課題を解決し、環境負荷の少ない肥料生産を可能にするこの技術は、脱炭素社会に向けた農業の大きな一歩となります。 画像 左)プラズマ照射した培土で育てた小松菜 右)プラズマ照射していない培土で育てた小松菜
Q3 高知大学との連携:植物の「声」を聞くIoP農業
高知大学IoP共創センターとの連携では、持続可能な農業への新しいアプローチとして、植物栽培における生理生態情報の定量的可視化に関する共同研究を進めています。 「生理生態情報」とは、一般的に植物の生理学や生体情報を指します。具体的には、植物がどのように成長し、栄養を摂取し、外部の環境変化に対応するか、その生命活動に関する情報となります。例えば、光合成や呼吸、水分の吸収などがその中に含まれます。 光合成や水分吸収などの生体反応をリアルタイムで把握し、植物が「何を求めているか」を科学的に理解することで、より精密な栽培管理が可能になります。導き出した生理生態情報を基に、農業に役立つ支援情報として活用することで農業生産性を向上させることを目的としています。 1)IoP:Internet of Plantsの略語。作物生産を決定づける光合成や成長など生理生態情報を「見える化」して、生理生態情報に基づく合理的な営農支援情報として「使える化」を行い、それらの情報を産地で「共有化」する仕組みです。
Q4 共同研究報告会で広がる研究共創の和
welzoでは、大学との共同研究の成果を広く共有し、次なる共創の可能性を探る場として、毎年「共同研究報告会」を開催しています。この報告会は、単なる成果発表の場にとどまらず、垣根を越えた対話と交流を生み出す、未来志向のプラットフォームです。 報告会には、welzo、大学関係者など、多様な立場の参加者が集います。各研究テーマの進捗や成果、課題についての発表に加え、さまざまな意見交換が行われ、研究と社会の接点を実感する貴重な機会となっています。 この報告会を通じて、研究成果が社会にどう実装されていくかを共有し、農業の課題解決に向けた新たな連携の芽が育まれています。welzoは、こうした共創の場を大切にしながら、持続可能な農業の未来をともに描いていきます。
Q5 研究農場を伝える取り組みと地域との取り組み
①CIC福岡でのイベント開催:「農業ってもっと自由だ!」 2025年6月12日、CIC福岡(Venture Café Fukuoka)にて、welzo主催のトークイベント「農業ってもっと自由だ!―スマート農業でつながる未来のハタケ」が開催されました。九州大学との共同研究を軸に、農業の現場・アカデミア・メディアの視点から、スマート農業の可能性について議論が交わされました。登壇者には、九州大学教授の石橋勇志氏、そして人気YouTuberで農業法人代表の鶴竣之祐氏(つるちゃん)、welzo研究農場長の尾崎剛教氏を迎え、実践的な知見と未来への展望が語られました。
②収穫体験や寄付活動 welzoでは、持続可能な社会の実現に向け、地域と連携したサステナビリティ活動に取り組んでいます。2023年から始まった収穫体験会は2024年までに8回開催され、農業への理解促進と職業選択のきっかけ作りに貢献しています。また、研究農場で収穫されたきゅうりは、こども食堂や福祉施設などへ寄付され、地域の食支援にも活用されています。今後も福岡に根差す企業として、地域とのつながりを大切にしながら、農業を通じた社会貢献を続けていきます。
③京都芸術大学との共創:研究農場を「漫画」で伝える welzoは、研究農場の取り組みをより多くの人にわかりやすく伝えるため、京都芸術大学の学生と連携し、社内報向けに漫画を制作しました。親しみやすいストーリーで、スマート農業やプラズマといった難解な技術が表現され、社員からも好評を得ています。今後は社外への発信も視野に入れています。
Q6 未来を耕す研究農場として
welzoは、大学や地域との共創を通じて、農業の課題を技術と知恵で乗り越え、誰もが安心して食を享受できる社会の実現を目指します。研究農場から生まれるイノベーションを通して、私たちは日本の農業を変えていきたいと考えています。
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